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種まきからはじめる蕎麦の教室 vol.1【 里らぼ参加者さんの企画を追いかけて 】

埋もれかけてしまった木曽地域の文化や知恵を再び耕し、未来につながる「もの・こと」を生み出すプログラム「里らぼ木曽2020」常滑に拠点を置きプロダクトデザインを軸に様々なプロジェクトを行うクリエイティブディレクター高橋孝治さんを講師に迎え、2020年11月から2021年2月までの4カ月間で開催されました。

里らぼプログラムに参加してくださった 株式会社霧しな の「種まきからはじめる蕎麦の教室」がいよいよ形になり始動するということで、その第1回の様子を、里らぼスタッフがレポートします。

( ▶︎ 霧しなさんが参加した里らぼの最終回の様子はこちらからご覧ください )

本当に美味しい蕎麦って?

山梨県の企業が、木曽開田地区の水や蕎麦粉に惚れ込んで工場を建てたのが「株式会社霧しな」。

地元の方やこの地域に敬意を払うと共に、これからは「もっと地域の方と関わりをもちながら、新しい蕎麦の活用を提案したい」ということで、蕎麦を育てることから関わることができる「種まきからはじめる蕎麦の教室」というプログラムが里らぼでは提案されました。

蕎麦打ち教室などは、どこにでもあるけれど、蕎麦の種を蒔くことから教えてもらえる教室はなかなかありません。

内容は地元の蕎麦農家さんや蕎麦打ち名人と触れ合ったり、新しい蕎麦粉の使い方の料理教室を開催したり、また、自ら石臼を挽いて蕎麦打ちをする3回にわたるプログラムです。

教室の第1回が開催された2021年7月15日。雄大な御嶽山を見ることができる霧しな蕎麦工場にて「開田高原の歴史と蕎麦の種まき体験」をおこないます。

まずは社長・大場さんからの挨拶、参加者の皆さんの自己紹介からスタート。

長野市・松本・伊那・安曇野など遠方からの参加が多く蕎麦が好きだから蕎麦打ちをやってみたかった方、子供と一緒外で遊びたかった方など参加動機は様々です。

雄大な御嶽山が見える畑に種を蒔く

軽いアイスブレイクの後は、畑に向かい種まきへ。

今回植える蕎麦は、開田高原の在来種「開田早生」です。小粒で香りが良いと評判です。

長年蕎麦畑を管理されている、上野さん、清水さんのお手本と指導に従い、各自蕎麦の種を蒔きます。

蕎麦は投げるように均等に蒔くこと。蕎麦と同時に雑草対策のため菜種も撒くこと。有害駆除のため荏胡麻を周りに植えること。などなど、知らないことばかりです。

そして自分の撒いた列には、自分で書いた看板をたてて、記念撮影。

成長が楽しみです。

蕎麦の達人から開田の蕎麦の歴史を学ぶ

生まれも育ちも開田で長年農業に携わっていた上野さんから、開田の蕎麦の歴史を教えていただきました。

  • 開田は標高1000メートル付近のため米ができなかったから蕎麦を育て色々な料理にして食べていた。
  • 開田の人々は木曽馬と共に生き、木曽馬は畑の野草を食べ、糞は堆肥に、そして農耕にと開田の人々は木曽馬と共に生きていた
  • 蕎麦粉にする水車のことをくるまと呼び、個人で所有していて昔は毎日動いていた
  • 蕎麦は稲科ではなく、タデ科であること、長柱花と短柱花の2種類ありその組み合わさないと実がつかないこと

などなど。開田の生活には、蕎麦が欠かせないものだったのですね。

開田の昔ながらの蕎麦を堪能する

昼食は信州開田で、長年蕎麦屋を営んでいる 「そば処 嶽見(たけみ」でいただきました。

丹精込められて作られた手打ち蕎麦は香り高く、本当に美味しかったです。

特に「うきふ」と呼ばれる、蕎麦粉の団子のようなものに荏胡麻のタレをかけたものは、蕎麦の香りがダイレクトに伝わり蕎麦とはまた違った美味しさがありました。もう一度食べたいと思うような一品です。

開田で唯一残されている水車を見学

蕎麦を食した後は、開田で唯一残されている水車を見学に行きました。

開田で水車を作ることができる数少ない木工家の一人の田中さんからの水車の仕組みなどを伺います。

水車は赤松で作り 毎日水に当てないと長持ちしないそうです。

今は作れる人が少なくなってきているなどのお話も聞き、そのあと実際に水車小屋の中を見学させていただきました。

水車の中には、いくつもの歯車が周り、杵が落ちたり、石臼が回ったりと、歯車が周り動く様子はとても格好良く見惚れてしまいました。

自分にとっての「美味しい蕎麦」って

1日で盛りだくさんの内容が詰まった「蕎麦の教室」。

人によっては、10割蕎麦がよい、手打ちがよい、と好みは様々ですが、

歴史や品種、蕎麦を蒔くことを体験し、改めて「美味しい蕎麦ってなんなんだろう?」と思いました。

霧しなさんが、開田という土地に惚れ込んで工場を建てたという熱い思いが今ならわかる気がします。

次回2回目は「満開の花見蕎麦を楽しむー料理と箸作りー」です。どうぞご期待ください!

 

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