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【里らぼレポート】第2回プラン立案・レクチャー

埋もれかけてしまった木曽地域の文化や知恵を再び耕し、未来につながる「もの・こと」を生み出すプログラム
「里らぼ木曽2020」

今回は、第2回目の現場レポートをお送りします。

2020年11月8日の「里らぼ」 第一回目の現場訪問の様子はこちらからご覧ください
高橋さんをゲストに迎えた2019年「さとくらしカレッジ」第一回の様子はこちらからご覧ください

第1回から2週間を経て…

第1回から2週間、2020年11月29日に開催された里らぼ木曽・第2回。

今回は、最初に高橋さんから、11月22日~30日に開催していた東京銀座蔦屋での常滑焼の催し【常滑のやきもの展「常滑の陶工たち Potters of Tokoname」】のお話を伺いました。

東京などの都市部に、「常滑」という地域の名前を出して、展示やイベントに出ると、常滑周辺出身やゆかりのある方やその土地で頑張っている方が来訪してくれて、話しかけてくれることが多かったそうです。

他の地で何かするときは「木曽」という土地の名前を前面に出していくことが大切なのですね。

高橋さんのお話を聞いたあと、簡単な手を動かすワークへ入っていきます。

お題は、「今使っている箸・茶碗を実寸大で紙に書いた後、断面図も書いてみよう。」

私も書いてみようと思ってペンを握りますが、自分がどんなサイズの茶碗や箸を使っているのかを思い出して書くのは意外に難しく、断面がどうなっているかなどは普段は想像したことがないため、かなり苦戦しました。

『もの・コトを作る人が「アイディアを形にする」という行為は、日々の生活のなかで、いろいろなことを見て、考え、感じることの蓄積である。外国の方に「箸」はデザインできない。なぜなら、普段使っていないから。』という、高橋さんがおっしゃられていた言葉が印象に残ります。

簡単なアイスブレイクの後、いよいよ第二回のプラン発表です。
第1回の里らぼから2週間、各個人でリサーチを重ねてきたアイデアをプレゼンをします。

株式会社霧しなの大場さんは、前回提案した蕎麦の体験プログラムをより具体的にして発表してくださいました。

#1 開田の蕎麦と歴史を知る (農家さんのお話を聞く・石臼でひいてみるetc…)
#2 蕎麦の種まき体験
#3 蕎麦猪口を作ってみる
#4 そば粉料理教室
#5 手打ち蕎麦・すんき蕎麦体験

みんなで話をしていると、「石臼は、木曽の古いお家であれば持っているところも多く、それを集めて使いつつ展示するのもいいのでは」「石臼はあるけど、木の柄がないのが多いから、木工関係の人に作ってもらえればいいのではないか」とさまざまな意見が出てきました。

このような体験ができるなら、遠方からもわざわざ開田に来てくれそうな気がしますね。

株式会社 勝野木材木工部の小川さん・白金さんからは、ヒノキの端材を生かしたエンドユーザー向けの商品アイデアを発表してもらいました。

勝野木材の木工部のテーマは「端材」。

国有林から切り出した木は許可なく持ちだしてはいけなく、購入しない場合は、枝も、木も、もう一度、山に戻さないといけないそうです。山に戻すだけでもコストがかかってしまう端材。

木工部では、そんな端材を有効活用したものづくりを続けています。

今回のアイデア提案へのフィードバックは以下の2つ。
「売る状況・リアルなお店の状況を考えて売る方法を考えてみたらどうか」
「大きな会社との役割と、作家さんなどの個人事業主での役割があって、双方協力し合える関係を作ってもいいのでは」

勝野木材さんの現場訪問のときに、沢山の大小様々のヒノキの端材を見たとき、ほんとに驚きました。
それと同時に「この端材を欲しがる人が沢山いるかもしれない」とも思っていました。
貴重なヒノキの端材が、必要としてくれているユーザーに届く流れができたら、素敵なことですね。


木工作家・徳永さんは、自身が好きだという「お香」にまつわる商品アイデアを提案してもらうとともに、前回の意見交換ででてきた「木曽石」についてのリサーチ結果を発表してもらいました。

木曽石の特性は
〇表面がざらざらしていて、削りやすい。
〇水を蓄えやすく、苔が生えやすい。
などがあげられるそうです。

次回までには、木曽石の加工現場の見学にいくそうで、追加レポートが気になります。

実は、私は木曽に住んでいながら、木曽石という石があるということを里らぼで初めて知りました。
木曽路を車で走って、木曽福島から上松町に入ると木曽川の石が、大きな石が白っぽい花崗岩になります。
ずっと木曽で生活しているとそのような当たりまえの風景を「なぜ?」と思う気持ちがなくなってきます。

石も立派な資源です。
そして木曽には石材屋さんが沢山あります。
その当たり前の石の存在に気づかせてくれた発表でした。

木工作家・野々村さんには、「人と関わり合いながら、プロダクトを作りたい」という想いを少し具体化したものを発表してもらいました。

木材資源が豊富な地域ということもあって、木材関連の仕事をしている人が多い木曽地域。

その地域性を反映させるかのように、里らぼ参加者5組のうち3組も木工に携わっている人です。

講師・高橋孝治さんの提案で、木工に携わっている3組(勝野木材さん・徳永さん・野々村さん)で、次回までに分科会を開くことになりました。

現在の木材資源の活用状況、木曽地域の木材にまつわる歴史、木曽五木について、それぞれが調べ、分科会で共有することで、「地元・地域の資源の再確認」をしていきます。

分科会での情報共有が、それぞれのアイデアにどう影響していくのか、次回がさらに楽しみですね。

家印」の吉江さんからは、塩尻市にある拠点「ミミー商店」にまつわるアイデア提案をしてもらいました。

里らぼ第1回では絶賛リノベーション中だったミミー商店ですが、第2回が開催されるまでの2週間に無事にオープンを迎えていました!11月22日、おめでとうございます!

そんなミミー商店を「人と人とが繋がりを持てる場所にしたい」という吉江さん。
木曽に行く機会がない、塩尻近辺の方に木曽をアピールできる場として使っていくことができるのではと考えているそうです。

これを踏まえて、木曽路が終わる塩尻という地を活かした役割をミミー商店が担うことができるのではないか、という意見がでてきました。

木曽路の谷間ををぬけると、一気に広がって平野になる塩尻市。
そんな土地のように、木曽のもの・コトが広がって伝わっていったら嬉しいですね。

5組のアイデア発表のあと、高橋さんによる講義「ものづくりのためのデザインプロセス」とワークショップが行われました。

講義では、4つのデザインプロセス「オブザベーション」・「サーチ」・「アイデア」・「コンセプト」 について学びました。

日頃から気になったものを写真に撮ったり、メモをとったりして蓄積していくことが大切なのだそう。また、感じたことを言語化したり、なぜその状況が成立しているのかを考えたり、日常の中でも一歩踏み込んで「考える」ことをしてみるといいそうです。

知見や知識がどんどん蓄積されると、さらにより魅力的なもの・ことを作っていくことができそうですね。

次回は折り返し地点の第3回!いよいよ、ゲストレビューワーの発表です。

お楽しみに。


参加者(現場視察順)
・株式会社霧しな/大場さん
・株式会社 勝野木材/小川さん、白金さん
・上松町地域おこし協力隊・木工部/徳永さん
・木工作家/野々村さん
・家印/吉江さん 

講師・運営メンバー
・講師/高橋孝治(デザイナー)
・企画・運営/蒲沼明(デザイナー・BOCCA)
・企画・運営/坂下・西尾(ふらっと木曽)
・地域アドバイザー/井上・井尾(en-shouten)

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