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【里らぼレポート】第3回 中間発表/ゲストレビューワー発表
埋もれかけてしまった木曽地域の文化や知恵を再び耕し、未来につながる「もの・こと」を生み出すプログラム「里らぼ」
紅葉していた木々の葉も全部落ち、木曽の冬らしいとても寒い朝からはじまった第3回。
講師の高橋さんからのレビュー・アイディアを形にする講義を受けた第2回から2週間。各個人でリサーチ&オブザベーションを重ねてきての中間発表をおこないました。
■第1回/2020年11月8日の「里らぼ」の様子はこちらからご覧ください
■第2回/2020年11月29日の「里らぼ」の様子はこちらからご覧ください
■高橋さんをゲストに迎えた2019年「さとくらしカレッジ」第1回の様子はこちらからご覧ください
里らぼレビュアー、決定!
まずは、運営スタッフより最終回となる第5回の説明があり、参加者のプレゼンを講評をしてくださるゲストレビュアーの方が発表されました。
第5回の最終プレゼンは、2021年2月14日。
お客さん・来賓の方をお呼びして、木曽町の御料館(旧帝室林野局木曽支局庁舎)で開催します。
ゲストレビュアーはイラストレーター・文筆家であり、山形県で山伏としても活動している坂本大三郎さんです。
著書:山伏とぼく
坂本さんは、山形県や東北地方で山伏として活動しつつ、山伏で培った、山の文化・知恵をより多くの人に伝えるため、執筆活動やアート作品の創作、店舗のプロデュースなど幅広い分野で活動しています。自然と人の関わり合いで生まれたものを扱うショップ「十三時」を山形県の西川町で準備されています。
木曽も御嶽山信仰が昔から盛んであり、坂本さんが今活動している山形県の出羽三山も同じ古くからの修験道の聖地です。
「木曽」も「山形」も山が身近にある中山間地域であり、周りの状況や人々の暮らしはきっと近いものがあるのではないか。
自然と共に生きながら、アート分野の活動や店舗などを営んでいらっしゃるので、この「里らぼ」のプロジェクトに対してもきっと何かご意見や激励をいただけるのでは。
そんなスタッフの熱い想いでオファーしたところ、こころよく承諾していただきました。里らぼ参加者への提案に対してのレビューやアドバイスが、非常に楽しみであると同時に、気が引き締まりますね。
リサーチ&オブザベーションを重ねた2週間
いよいよ各参加者からの中間発表。
前回からの2週間でのそれぞれのリサーチやオブザベーションの内容についても共有してもらいました。
参加者3組でつくった里らぼ木工チーム(仮)からは、木曽五木や木曽の林業の歴史の発表。
木曽郡全体の山間部地図を見たり、昔の林業の写真や資料を見ながら、皆で今一度木曽の山のことを皆で確認しました。
昔から、全国各地でお城の建築や、京都や江戸の大火のたびに、木曽の木を伐りだしていくことが多く、そのたびに荒廃する山々の資源を守るため、厳しく管理されていた木曽の山々。
そのおかげで豊かな木が現在まで残されたこと。そして、木曽の山々はほとんどが国有林であるということを改めて知ることができ、その山の営み(技術や知恵)から私達は生かされ、発展してきた場所であることを改めて感じることができました。
「株式会社 勝野木材」小川さん・白金さんからの提案は、「製材するときに出る沢山のヒノキの端材を生かしてエンドユーザー向けの商品を作りたい」です。
今回は、試作品をみたり、端材を見ながらその活用方法についての提案をききました。
木曽の国有林の木曽檜の切り出し、製材している「株式会社勝野木材」。
国有林から切り出した枝などは、森に戻さずに、バイオマスなどの燃料に活用していることなども今回教えてもらいました。
講師の高橋さんからは、端材の活用方法へのアドバイスに加え、株式会社勝野木材が、脈々と続けてきた歴史をみんなにわかりやすく示すだけでもとても価値のあるものになるのではという話がでてきました。
当たり前すぎて、わざわざ伝えてなかったこと。
それを伝えるようとするとともに、その伝え方を考えるだけでも大きな意味があるのかもしれないですね。
上松町地域おこし協力隊の木工部所属の徳永さんは、実際に「木曽石」のある現場にいって見聞きしたり、木曽の森林ついて調べたりことを最初に共有してもらいました。
机の上に置かれた木曽石に、参加者も運営メンバーも興味津々。
ここからは、絵や写真ではなく具体的なアイデアに対して、アウトプットの連続が必要になってきます。
講師の高橋さんからも「試作をぜひたくさんしてほしい」というアドバイス。
次回はどんな試作品が見られるか楽しみです。
木工作家・野々村さんの今回の発表は「ヒノキの皮(檜皮)や竹を使って、テーブルになったり、椅子になったりするツールを作ってみたい」というもの。
野々村さんのスケッチブックには、プロダクトイメージとなるスケッチが緻密に描かれていました。
野々村さんの内側からでてきたもので、そのままの形だけで充分可愛く感じました。
まだ迷っている部分もあるようでしたが、講師・運営陣と話すなかで、少しずつ方向性が決まっていったように感じます。次回は実際に試作されてものを拝見できることを期待したいと思います!
「株式会社霧しな」大場さんは、1回・2回と講評やアイディア出しを重ね「そもそも何がしたいのか。本当の想いは何なのか。」を原点に帰りを考えてきてくださいました。
霧しなが開田高原に工場を作り、美味しい蕎麦を追求して30年。そば体験の講座を通して、「蕎麦が美味しいということは何なのか」を感じてもらいながら、美味しい蕎麦をうみだす開田高原という地が多くの人にとってちょっと特別なところになってほしいという想いを教えてくださいました。
1月に入ってからは、依頼している講師の方の方と打合せもするとのことで、さらに現実味を増した提案を次回は期待しています。
「家印」の吉江さんは、塩尻の図書館から借りてきた本をたくさん携えての登場です。
・塩尻という地名は塩の道の最後の場所・塩を送った時の最終地点という説が多い。
・遺跡が発掘されていて、大きな部落や小さな部落が沢山あり、昔から栄えていたところである。
などなど、塩尻という場所の由来や歴史など調べて来てくださったことを教えてくださいました。
高橋さんからのレビューには、看板屋ということで、塩尻市にある消えてしまいそうなお店の看板をアーカイブ(保存・活用し、未来に伝達する)することを視野に入れていっても面白いのではという話がありました。
いろいろな知識やアドバイスを得たあと、ミミー商店がどのような場所になっていくのかとても楽しみですね。
午後は、作戦会議&個人ワーク!
5組の中間発表のあと、休憩をはさんで個人ワークへ。
各30分は、講師・運営陣との相談や打ち合わせをおこないました。
相談時間以外は、それぞれの個人ワーク。
参加者同士で情報共有をしたり、自身のスケッチに向かい合ったりとそれぞれの時間を過ごして第3回は終了。
残すところ里らぼもあと2回。
最終回は発表なので、実質的にはあと1回で自分のアイデアを形にしなければなりません。
参加者の方のプレッシャーは計り知れないと思います。
里らぼ運営陣も全力でサポートしていきます!
次回の第4回は、2021年1月17日(日) 中間発表2回目・ 試作、最終プレゼン準備です。
参加者(現場視察順)
・株式会社霧しな/大場さん
・株式会社勝野木材/小川さん、白金さん
・上松町地域おこし協力隊・木工部/徳永さん
・木工作家/野々村さん
・家印/吉江さん
講師・運営メンバー
・講師/高橋孝治(デザイナー)
・企画・運営/蒲沼明(デザイナー・BOCCA)
・企画・運営/坂下・西尾(ふらっと木曽)
・地域アドバイザー/井上・井尾(en-shouten)