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種まきからはじめる蕎麦の教室 vol.3【 里らぼ参加者さんの企画を追いかけて 】
木曽地域の新しいもの·ことをつくるプログラム「里らぼ木曽」に参加してくださった 株式会社霧しな さんの「種まきからはじめる蕎麦の教室」の様子を、里らぼスタッフがレポートします! 種まきからはじめる蕎麦の教室 の第1回目の様子は こちらをどうぞ。
▶︎ 「里らぼ木曽2020」最終回の様子は こちらからご覧ください
本当の蕎麦の美味しさを考えるきっかけに
蕎麦を育てることから関わることができる「種まきからはじめる蕎麦の教室」。
第2回の「満開の花見そばを楽しむー料理と箸作りー」はコロナの影響で残念ながら開催することができなかったため、第2回と第3回を両方まぜこんだ内容で「新そばを使って自分で蕎麦を打つ·石臼挽き体験」が開催されました。
前回は夏の暑い日でしたが、今回は北風が冷たいとても寒い日で、畑はすっかり刈り取られ、前回植えられた菜花が食べ頃になっていました。
まずは、どのように蕎麦が育ち、蕎麦を刈り、脱穀して蕎麦の実になったのかを画像で確認しながら、振り返りました。
蕎麦の実を石臼で挽くまでには、脱穀をした後、石抜きや磨きといった作業を何度も繰り返さねばならないそうです。
蕎麦の教室 第2回で訪れるはずだった「ふるさと体験館きそふくしま」より蕎麦打ち名人の古幡さんが来てくださり、蕎麦打ちのデモンストレーション。
その手捌きは、見惚れてしまうほどの流れ作業でした。
今回は贅沢にも、第1回で種を蒔いて収穫できた蕎麦の実を製粉した蕎麦粉が使われています。
名人が打った蕎麦は、後ほど食べることができます。
デモンストレーションの見学後は、石臼挽き体験。
非常に重く、みなさん苦労されていました。
スタッフの方からは「ここで熱を出さないように丁寧にゆっくりと回すことが蕎麦の風味を飛ばさないコツ」と教わりました。
挽いてはふるいにかける、を3回ほど繰り返すとやっと蕎麦粉になります。
次は、実際に自分で挽いた蕎麦粉も混ぜての手打ち体験です。
名人が打っていたようにはいかず、みなさん苦戦されていましたが、蕎麦好きな方も多いため初めてとは思えないほどの出来上がりになっていました。
そして、石臼挽きと手打ち蕎麦体験で体力を使い、お腹がペコペコになってからの名人の蕎麦が登場です。
一口、口に入れると、蕎麦の風味と味がダイレクトに伝わってきて、タレをや塩を付けなくても蕎麦だけでも非常に美味しく「石臼挽きするだけで、こんなにも風味が違うんだ」と感嘆の声が出てしまいました。
その後は第1回で訪れた「そば処 嶽見(たけみ)」の女将さんのお話を聞きました。
- 開田では蕎麦打ちが上手な女性はとても重宝がられた、お葬式の時は必ず最後に手打ち蕎麦が振る舞われ男性が接待し女性が料理するという風習がある。
- 「きしめん」という料理があり、おつゆと野菜を煮ておき、太い蕎麦をそのまま入れて茹で煮にするもので、寒い日は身体が温まりとても美味しい。
- 秋は新蕎麦、大根やジャガイモと一緒に煮たり、冬は「すんき」を入れてとうじ蕎麦にして、不便も寒いも美味しさに変えて暮らしてきた。
などなど、たくさんの開田の蕎麦の歴史を教えていただきました。
女将さんが持ってきてくれた大根の煮物は、少し甘く味噌の味つけで、じわっと胸に染み渡る美味しい煮物でした。
ここまでで既に濃ゆい内容でしたが、今日はまだまだ終わりません。
最後は、自分で木曽檜で作る「マイ箸」作りです。
番号順にカンナを削っていくと箸の形になっていくので、素人でも簡単に作ることができます。
木曽檜を削るため、会場には檜の香りが充満していました。
削った後はヤスリをかけ、箸に好きな字や絵を書いてフィニッシュ。
1日で2回分の内容が詰まった「種まきからはじめる蕎麦の教室vol.3」
参加者の方からは、「本当に楽しかった、また参加したい」「石臼挽きがおもいのほか楽しかった」などの嬉しい声が聞こえてきました。
教室を企画した霧しなの大場さんからは『木曽の文化を見直し新しい発信をするために「里らぼ」で提案した「種まきからはじめる蕎麦の教室」は、ここに居ないたくさんの人が関わってくれて成立したものなので、皆さんに感謝したい。ぜひ来年もやりたい』とおっしゃられていました。
本当に美味しい蕎麦ってなんだろう?
今一度、この言葉の意味を考えました。
全国に美味しい蕎麦はたくさんあります。
しかし、今回食べた蕎麦は、開田の方が毎年種を取り育て、種を繋いでくれた在来種の開田早生の種を自分で撒いて、石臼で挽いたものです。
それは、たくさんの人の想いがリレーされてきたものであり、言うまでもなく「日本一の美味しい蕎麦」になったと思います。
私たちの口にする多くのものは、スーパーや外食店で購入することが多くなり、販売されるまでにたくさんの方々の手を経由してきていることが見えにくくなっています。ものを買うときや食べる時、誰から買うのか、どうゆう経路をたどって販売されているのかを考えて手にするということも今後大事になってくるのではと考えさせられました。
来年も開催されるかもしれませんので、その時まで霧しなさんの発信に注目していきましょう。
公式インスタグラム( @kirishina_soba ) もとても素敵な写真や開田の自然が発信されています。ぜひチェックしてみてください。